【完】 After Love~恋のおとしまえ~



「聞いたよ、妻と会ったんだってね。俺が君にプロポーズをしたなんて、どうしてそんな嘘をついたの?」

小倉さんは、何も言葉を発しない。

どんな表情をしているのか見てみたかったけど、振り返ったら私がここにいることがバレてしまう。

「あのさ、何度も言ったよね。君を恋愛対象に見ることは出来ないって」

「でも……でも、何度も手をつなぎました」

一気にトーンが下がり、蚊の鳴くような声になる。

「そうだね。でも、一度でも俺からつないだことはあった?」

「……」

「拒絶したら君が泣いて『生きている意味がない』と言うから、それ以来拒絶できなくなった。ごめんな、今さらこんなことを言うのはひどいかもしれないけど、はっきりさせておきたいんだ」

翔さんは、後ろの席にいる私に聞かせるように、ゆっくりと、はっきりと言葉を口にした。