家の前に置かれたサンドイッチが彼女の仕業だということにも、彼は勘づいていたそうだ。
けれども、彼女を問い詰めてももちろん自分の仕業だとは認めないうえ、疑われたと泣き出すので、埒があかなかったのだと彼はうなだれた。
「彼女は精神的にとても弱い人なんだ。だから、傷つけるのが怖くてはっきり拒絶できなかった。正直、こんなに執着されてしまってどうしようかと困ってはいたんだけど……」
「彼女を傷つけないようにと取った行動がどんなに私を傷つけたか分かってる?」
「ごめん。今は心から後悔してる」
「彼女に心を動かしたことは一度もなかったって、断言できる?」
「当たり前だよ! それは断言できる。彼女に対して抱いていたのは、これまでも今も、同情心だけだから」
「でも……」
それでも、彼が話した内容がすべて真実だと、鵜呑みにして良いのだろうか。
人は、嘘をつく生き物だ。
一度嘘をついた人は、何度だって嘘をつく……かもしれない。
そんな思いを吐露したところ、彼は少し考えて、「分かった」と立ち上がった。
「嘘はついていないって証明すればいいんだな」