【完】 After Love~恋のおとしまえ~



彼女が定期的に散歩に出かけるようになり、徐々に遠出をしたという話も聞かれるようになったころ、彼は彼女にこう告げたという。

「そんなに出かけられるようになったなら、もう引きこもりは卒業じゃない? 俺とのリハビリ散歩も、もう卒業だね」

その翌週のことだったそうだ。

彼女が、涙ながらにこう訴えてきたのは。

「実は、お父さんが友達の借金の保証人になっていて、その借金のカタに自宅を取られてしまうかもしれないんです。でも私……この街にいる間ずっと引きこもっていて、良い想い出が一つもないの。だから、せめて引っ越す前に、この街で楽しかった記憶を作りたい。想い出作りに協力してくれませんか。だって私、この街にあなたしか知り合いがいないから」

その不幸な境遇に同情した彼は、想い出作りとやらに協力する約束をしてしまったそうなのだ。