「何かあった?」
私の顔を覗き込む彼に、小さく首を振る。
「サトシがよりを戻すって言ったのは嘘だから」
翔さんは一瞬ほっとした顔をして、それから、困惑の表情に変わった。
「じゃあ、いったい何のために彼はそんな嘘のメールをよこしたんだろう」
「翔さんを一時帰国させるため」
「それこそ、いったい何のために?」
ますますもってわけが分からないといったように、彼が首をひねる。
「私が、翔さんと会って話がしたいと言ったから」
一番したいことは「翔さんと直接会って話すこと」だと告げた私の希望を、サトシは叶えようと画策してくれたのだ。
「小倉さんのことについて、会って話し合いたかったの」


