サトシの車で自宅まで戻ってくると、我が家の駐車場に止め、そこから徒歩で小倉家へと向かった。

わずか五、六分の距離だ。

駅から反対方向なので、それまでその方向には行ったことがなかったのだけれど、先日谷本先生たちと初めて小倉家を探して訪れたときには、驚愕した。

あまりにも自宅から近かったからだ。

彼女の住所から、我が家から近いのだろうとは想像がついていたけれど、まさかここまで近いとは夢にも思わなかった。

こんなに近くに住む女性といったい何をやっているのかと、一気に増幅した彼に対する失望感は、今も増幅しつづけている。

「大丈夫か? 一緒に行こうか?」

彼女の家の数メートル手前で立ち止まった私は、首を振り、サトシにここで待っていてくれるように頼んだ。

ゆっくりと歩を進め、その家のインターホンの前に立つ。