速足で駐車場方面に向かうサトシの背中に向かい。

「ねぇ、私って、性格悪いかな。報復しようとするなんて」

そんな質問を投げかけてみた。

「別に。そんなことないんじゃない」

「でもさぁ」

「友里は別に、相手の親にあることないこと言おうと思ってるわけじゃないだろ? 事実を告げるだけで」

「それはもちろん」

「本人に反省の色が一切ないなら、親にいさめてもらっていいんじゃないの? それに……」

サトシがふいに足を止め、振り返った。

「今は、いかに友里が気を晴らすことができるかってことが、俺には何より大事に思えるから。親にバラそうが、兄弟姉妹にバラそうが、友里のやりたいようにやれよ。俺は全力でサポートする」

再び前を向いて歩き出したサトシの黒いパーカーが、風でふわりとひるがえった。

一瞬、マントをひるがえして颯爽と歩くヒーローの姿のように見えた。