ずいぶん長いこと、海を眺めていた。

夕暮れどきの公園には多くの恋人たちの姿が見られ、私が腰かけている展望デッキのベンチでも、あちこちで人々が愛を語らい合っている。

港の見える公園で、もうすぐ日が暮れる時間。

なるほどロマンチックな状況で、愛も語りたくなるというものだろう。

――でもね、その幸せがいつまでも続くとは限らないよ。

ただの僻みとは分かっていても、心の中でそんな悪態をつかずにはいられなかった。

ささくれ立った心は、すさんだ刃を他人に向ける。


何度目かも分からない船の汽笛が私の耳に届いたとき、バッグの中で携帯電話が震えだした。

取り出して画面を見ると、結衣子さんからの電話だった。

「友里ちゃん、どうだった? ……泣いてるの?」

私が何か言葉を発する前に、息づかいから、泣いていることは容易に伝わってしまう。

「ねぇ、今どこにいるの?」

「今……港の見える丘公園にいます」

「港の見える丘公園? 一人でいるの?」

「はい」

「会ってきたんでしょ?……どうだった?」

「それが――」