翌週の日曜日が、その作戦の決行日だった。

お昼を少し過ぎたころ、私は彼の書斎で、自分の携帯を握りしめていた。

谷本先生と結衣子さんが「決行日は一緒にいようか」と申し出てくれたけど、それは丁重に断った。

これは、私が一人でやらなければならないことだ。


先週、谷本先生たちと一緒に封筒に書かれた住所の家を探しに行ったところ、「小倉」と掲げられた表札の家が、そのままそこにあった。

だけど、よく考えたみたら、実家がそこにあるからといって、彼女が引越しをしていないとは限らないのだ。

実家から独立した、ということだって考えられるわけだし。

そんなわけで、やはり、電話で呼び出す方法を取ることにしたのだった。


深呼吸をしてから、ゆっくりとボタンを押す。

――大丈夫、何度も練習したことを落ち着いて話せばいい。

きっと彼女は、この話に食いついてくるはず――