それは、並んだ本と棚板の隙間に無造作に突っ込まれた封筒だった。
だけど、それが私の目についたのは、開いた封筒の口から、ピンク色のノートのような物が見えたからだ。
嫌な予感がした。
かつて、この本棚でピンクのフォトアルバムを見つけたことを思いだしたからだ。
犬の散歩で知り合ったという、なれなれしい女から贈られたフォトアルバム。
まさか、また……?
ゆっくり立ち上がると、本棚の前にゆき、その封筒を手に取った。
中に入っていたB5サイズのノートを取り出すと、深呼吸を一つしてから、表紙をめくる。
細かくぎっしりと書き込まれた文字に一瞬圧倒されたけど、ゆっくりと一行目に視線を移したところ……
息がとまるかと思った。
そのノートに書かれた最初の二文を読んだだけで、それまでのすべての謎が、一瞬にして解けたからだ。
全身の力が抜けてゆき、私は、崩れるように床に座りこんだ。


