「マジかよ……」
裏ぶたを手にした谷本先生も、それを覗き込んだ私と結衣子さんも、そのままの姿勢でしばし固まってしまった。
「くまー、くまさんー」
美波ちゃんがぬいぐるみの手を回しながら楽しそうに上げる声だけが、部屋の中に響いていた。
「……ってか、本当に呪いの札が貼ってあるとはな! 今年度びっくり大賞受賞決定だ、これは!」
ようやく谷本先生がおどけた声を出したけれど、それに笑う余裕はなかった。
返事をしない私と結衣子さんを前に、谷本先生がバツの悪そうな顔で黙り込む。
「……これって、タロットカードよね?」
そこで結衣子さんが、美波ちゃんの背中を撫でながら口を開いた。


