「――そうかぁ、それは残念だなぁ」

我が家に訪れた谷本先生は、玄関でマフラーを取りながら残念そうな顔をした。

「でも、お仕事なら仕方ないわ」

結衣子さんが、美波ちゃんのコートを脱がせながら「気にしないでね」と微笑んでくれる。

美波ちゃんはといえば、初めて訪れる家を興味深そうにきょろきょろと見回していた。