「何か手伝おうか?」

ドアから顔をのぞかせた翔さんに

「ありがとう、じゃあ……」

何を頼もうかと顎に人差し指をあてた時、隣の部屋から携帯の着信音が聞こえてきた。

「あ、ちょっとごめん」

翔さんは顔をひっこめると、しばらくして、どこか困ったような顔をして戻ってきた。

「ごめん……大変申し訳ないんだけど、どうしても出かけないといけなくなっちゃったんだ。ちょっと、仕事で」

「えー!? 谷本先生たち、もうすぐみえるのに」

「うん、本当に申し訳ないって謝っておいてくれるかな。用事、なるべく早く済ませて帰ってくるようにするから」

「まぁ、仕事なら仕方ないもんね……いってらっしゃい」

「ああ、行ってくるよ」