二月に入ったある日曜日、私は朝からせわしなく来客の準備をしていた。
「ミートローフはもうすぐ焼きあがるし、サラダは冷蔵庫で冷えてるし、スープもデザートも出来たし、あとは……あ、テーブルセッティングがまだだった!」
薔薇のモチーフがついたお気に入りのスリッパをパタパタ言わせながら、カトラリーの箱を抱えてキッチンを飛び出る。
ダイニングテーブルには、さっきアイロンをかけたばかりの白いレースのテーブルクロスがかかっていた。
それは、結婚祝いに結衣子さんが贈ってくれたものだ。
テーブルの中央に昨日買ってきた花を飾ると、私はカトラリーを並べはじめる。