水族館を見終わり、最後に土産物店に寄ったときのこと。
職場へのお土産でも買おうかとお菓子のコーナーを見る私から離れ、サトシはフラフラとどこかへ消えていった。
買い物を終え、店の前でサトシと合流する。
「友里、何を買ったんだ?」
「職場にお菓子をね。サトシは何か買ったの?」
「ああ、俺は、お仲間を連れて帰ろうと思って」
「お仲間?」
サトシは私の手を取ると、小さな紙袋を乗せた。
「はい、友里の鳥仲間」
袋を開けると、中からキーホルダーのペンギンが顔をのぞかせた。
淡い空色と白のコントラストが爽やかな、陶器製の可愛らしいキーホルダーだった。
「ありがとう……あ、このバッグにつけようかな。合いそう」
「ああ。じゃあ、つけてやるよ」
サトシの買ってくれたペンギンが、私の白いバッグの上で揺れる。
このペンギンが、サトシから私への、初めての贈り物だった。


