「結婚式は花嫁のためのものだから」

それが、結婚披露宴の準備をしていた時の翔さんの口ぐせだった。

私の希望するホテルを予約してくれて。

こだわりのウェディングドレスは、オーダーメイド。



「このドレスがいいかなぁ。でも、胸元のデザインがちょっとイメージと違うかな。こっちのドレスも素敵だけど、レースはあっちのドレスの方が好きだし」

ホテルのブライダルサロンでレンタルのウェディングドレスを選ぶのに悩んでいた私を見て、彼が提案してくれたのだ。

「帯に短したすきに長し、みたいだね。じゃあ、いっそオーダーで作ろう」

それはさすがに贅沢すぎると首を振った私に、彼はいつもの言葉を口にしたのだった。

「結婚式は花嫁のためのものだから。遠慮しなくていいんだよ」