カナさんは、まるで私の考えていることが聞こえたかのように、
「私ね、サトシから、友里さんのこといろいろ聞きました」
そんなことを告げてきた。
「いろいろって?」
「友里さんと、それから、ももさんのこと」
私と……
ももちゃんの?
混みあった店内のざわめきが、一瞬耳から遠ざかった気がした。
「サトシがどんな嘘をついて、どれほど友里さんとももさんを傷つけたか。そんな過ちを、サトシがどれほど後悔しているか。全部話してくれたんです」
「……」
「新しい土地で、何もなかった顔をして新しい恋を始めるのは、あまりに不誠実だからって」
だからって、全部をバカ正直に話すなんて。
そんなことを……
サトシが、そんな誠実なことを……


