そんな疲れるドライブの末、目的地のピクニックランドに着いた。
「わぁ、カモが沢山いるな!」
カモがいる湖のほとりでシートを広げ、昼食にすることにした私たち。
しばらくすると、サトシがカツサンドのパンをちぎってカモにあげはじめた。
「あはは、あいつら取り合ってるよ。すごい争奪戦だな」
投げたパンに群がるカモ達に笑いながら、サトシは自分が食べるのも忘れ、パンを次々にちぎって夢中でカモにあげていた。
サトシがカモにパンをあげる姿を、最初は微笑ましく見ていた私だったけど……
いつまでもあげているサトシを見ているうちに、だんだん複雑な気持ちになってきた。
ねぇ、サトシ。そのパンは、私が粉から練って、発酵させて、焼いたのよ?
サトシのために、早起きして手作りしたのよ?
それを、カモにあげちゃうの?
「カツも食べるかなぁ?」
サトシがそんなことを言い出したので、ついに私は不満を口にする。
「カツは、カモにあげないで」
サトシはきょとんした視線を私に向けてきた。
「なんで? カモって肉は食べないのか?」
そういう問題じゃなくて。
「チキンカツだったら共食いだけど、これ、チキンカツじゃないだろ?」
豚カツだけどさぁ!


