翔さんは犬が好きだ。
犬を飼いたいとも思っているようだけど、私たちはお互い仕事があり平日は終日留守にすることもあり、ペットを飼うことは叶わないでいる。
あるとき、近所に住む老夫婦がそろって体調を崩した際、二人が飼っているトイプードルのシェリーの散歩を頼まれてことがあった。
そして、それをきっかけに、彼は休日にはシェリ―の散歩をかってでることになったのだ。
そんなある日のこと――
「近所を散歩中、出会った大型犬に吠えられたシェリーがビックリして逃げちゃったんだって。リードと首輪をつなぐ金具が甘くなっていたらしくて、取れちゃったちゃったみたい。預かった犬がいなくなって、彼はもう大慌てでそこら中を探したらしいんだけど……」
しかし、シェリーは見つからず。
途方に暮れた彼が老夫婦の家へ行くと、老夫婦から「シェリーを保護してくれた人から連絡があった」と告げられたのだという。
シェリーは、首輪に迷子札をつけていたのだ。


