「何から話せばいいかな」 車窓を流れ去る景色に目を向けながら 「……あのときね」 私はゆっくりと口を開く。 「サトシに振られたとき、私、自分に自信がなくなっちゃったの。だけど、そんなときに彼に出会って、自信を取り戻させてもらったんだ」 「俺が友里を振ってから……やり直したいって言いに行った間に知り合った人?」 「うん」 その人は、仕事には厳しいようだけれど、プライベートではとても穏やかな人で。 優しくて、誠実で――