「眠くなるなら、運転中に聞いたら良くないんじゃない?」 「眠くならないように、友里が喋ってて」 「喋っててと言われても……何を喋ればいいかなぁ」 首を傾げた私に、サトシが 「じゃあ……」 と少し考えて。 サイドブレーキを降ろしながら、遠慮がちにこんなことを口にした。 「友里の今の恋人ってどんな人なのか、教えてよ」 「え?」 車は、静かに走りだして。 「知りたいんだ」 サトシが、静かにそう言った。