【完】 After Love~恋のおとしまえ~


その不満を口にしようかと迷っていたところ、ふいにサトシが叫んだ。

「あっ、今の標識! なんて書いてあった?」

「えぇ? ごめん、見てなかった」

私の返答に、サトシが眉をひそめる。

「ちゃんと見ていてくれないと困るよ。俺は運転していて、標識は見られないんだからさ」

え?

標識って普通、運転しながらドライバー自身が見るものじゃないの?

助手席の人が標識を見なくてはいけないの?

サトシ、一人で運転しているときは、一体どうしてるの?

「はい、これ」

さらに、サトシからおもむろに地図を渡された。

「高速を降りたあとは、地図を見ながら行くから」

地図を見ながら行く……そして、その地図を見るのは私の役目なのね。