――あれは、バレンタインデーのこと。

サトシの部屋で、ももちゃんからもらったらしきゴディバを見つけて。

サトシはそれを義理チョコだと言い張ったけれど、そうでないことは一目瞭然で。

ももちゃんのチョコをサトシに食べさせたくない一心で、無理やり全部自分で食べたのだった。

あのとき、一心不乱にチョコを口に運ぶ私のことを、サトシは呆気に取られた様子で見ていたけれど――

「俺が『太るぞ』って止めるのも聞かずに、ひと箱全部食べただろ?友里って本当にゴディバが好きなんだなーってある意味感心してたんだよ」

「はぁ!? 違うってば、私があの時チョコを全部食べた理由はね――」

時を超えて、私たちは一つずつ、二人の過去の答え合わせをしてゆくのだった。