マンションの前に着くと 「……俺の部屋番号、覚えてる?」 サトシが、かつての自分の部屋のあたりを見上げながら、そんなことを尋ねてきた。 「んー、忘れちゃった」 「なんだ、忘れたのかよ」 嘘よ。覚えているに決まってるじゃない。 当然のように覚えていることは、なんだか恥ずかしくて、知られたくなかった。