「ちなみに何度もやったら、線香花火の火の玉を落とさないコツが分かった」

「コツって、どんなの?」

「まず、持つ場所だけど。上の方を持ったらダメなんだ。真ん中より下を持つ。その方が揺れないからな。それから、真下に向けないで、ほんの少し上に向けるんだ。こういう風に」

サトシは三本の指で線香花火を持つ仕草をすると、その先を、少し上に向けるようにしてみせた。

「あとは、当然だけど、無風の日を選ばないといけない。俺たちがやった日は風が吹いていて、条件が悪かった」

「そっか」

サトシがそんな分析をしながら一人で線香花火をしている姿を想像すると、なんだか少し笑えるけど。

だけど……

わざわざそんなことをしてくれていたことが、やっぱり嬉しくもあり。

どこか、くすぐったい。