そう言うと、翔さんは海の方に目を向けた。 「今度はどこに行こうか。どこでも連れて行ってあげるよ」 「じゃあ、カナダとオーストラリア。それから、沖縄も」 「即答だね」 彼はくすりと笑って「了解」と言った後、ポケットから小さな包みを出し、私の方に向き直った。 そして―― 「誕生日おめでとう」 リボンのかかったそれを、私の方に差し出した。