そこで見かけた一匹のラッコは、潜っては貝などを捕ってきて、胸の上で割って食べていた。

しばらく見入っていると、

「あ、見て! 今度はタコを捕ってきたみたい」

「本当だね」

ラッコは、小さなタコを捕えてきた。

しかし、ラッコがそれを食べようとしたところ、近くにいたペリカンが、それを横取りしようとしはじめる。

タコをめぐる、ラッコとペリカンのバトル。

勝利したのは、タコを持ったまま再び海中に潜って逃げ切ったラッコの方だった。

その様子に見入っていた私が

「ラッコの勝ち!」

歓声を上げながら翔さんの方に振り向くと、彼は私のことを見つめていた。

「……なに?」

「いや、あんまり夢中で見てるから。そんなに喜んでもらえて、連れ来た甲斐があったなぁと思って」