野生のアザラシたちがのんびりと寝そべる小さな港の、桟橋。

少し前を歩く彼が後ろに差し出した手を握り、その先端まで歩いていくと――

「ラッコだ!」

海面にぷかりと浮かぶ小さな生き物の姿があった。

「すごい! 可愛い!」

興奮した私の手から、スルリとデジカメが落ち――

「おっと!」

彼が慌ててキャッチした。