そんなことを思ったけれど。

でもまぁ、それならそれで、まぁいいか、と思い直す。

サトシに振られたおかげで、翔さんと付き合えた。

これこそまさに、「転んでもただでは起きない」というやつだ。


そんな風に考えられるほど、私はすっかり前向きな思考回路を取り戻せていた。



夏の終わりには翔さんと北海道旅行をして、サトシとの思い出の地を、新しい思い出で上書きした。

秋には彼の職場のバーベキュー大会に参加し、同僚たちに恋人だと紹介してもらった。

クリスマスには、お互いがプレゼントに添えたカードに、まったく同じ文章が書いてあることに驚いた。

「来年も再来年も、ずっと一緒にいようね」

私たちは、同じ気持ちで――

春が来るころには、二人で同じ未来を歩むことを夢見るようになっていた。