サトシの車の中にあるCDには、またも異変が起きていた。 ももちゃんの好みであろう邦楽のCDはなくなっており、代わりに、サトシが選ぶとは思えないクラッシックのCDが出現していた。 「どうしたの、これ」 「友里はピアノを弾くから、こういうピアノ曲が好きなのかなと思って、買ってみたんだ。良かったら、聴かないか?」 「……うん」 私の好みを考えてCDを用意してくれた。 でも、そんな優しさは、全部あのころに欲しかった。 もう遅いよ。 サトシ、もう遅いんだよ。