サトシとの恋愛の中で彼のことを評価できる点があるとすれば、それは、サトシが最後まで私から逃げなかったことだと思う。

あの後 、サトシは、「別れて欲しい」と、ためらいつつもハッキリとそう言った。

だけど私は、どうしても別れたくなくて。

首を縦に振ることが出来なかった。


別れたい男と、別れたくない女。

そんな二人が何をいくら話し合ったところで、意味などないと思う。

お互いが納得する結論なんて、出るわけがないのだから。

サトシは、ある程度まで話し合った後は、もう私を拒絶して終わりにすることだって出来ただろう。

だけど彼は、そうはしなかった。

私が納得するまで、何度でも話し合おうとしてくれたのだ。

話し合うと言っても、内容はいつも一緒で、堂々巡りなのだけど。