車に戻ると、サトシは無言で発進させた。

銀座から私の住む横浜までは、二人で何度もドライブをした道だ。

だけどこれが、おそらく最後の「片道」になる。

そう思ったら――

「やっぱり、嫌。別れたくないよ……」

最後の最後は、理屈じゃなかった。

感情から出た結論は、私の心がやはりサトシのもとにあるということ。

終わりにしようと思っていたけど。

終わりになどしたくないというのが、本当の気持ちだった。

この恋に終止符なんて打ちたくない!

だけど――

「ごめん」

サトシの心は、もはや私のもとにはないようだった。