「私も浩二と待ち合わせなんだけどね、早く着いちゃったの。良かったら、一緒にコーヒーでも飲んでない? その後どうなっているのか、話も聞きたいし」

そこの喫茶店でどう、と結衣子さんが指差したのは、さっきまで私がさんざん長居をしていた喫茶店だった。

またあの店に入るのは気まずいと思いつつも、微笑みかけてくれる結衣子さんの誘いは断りにくく――

「……そうですね」

思わず頷いてしまう。

「ここのウィンナコーヒー、美味しいのよね」

結衣子さんが店のドアを開けようとしたとき、ふと病院に目を向けた私は

「あっ!」

思わず声を上げてしまった。


正門から出てくる彼女の姿が――ももちゃんの姿が、見えたからだ。

間違いない。

サトシの部屋で見つけた写真に写っていた、あの人だ。

あれがももちゃんだ。