サトシが浮気を認めないのなら、こちらにも考えがある。

私は、ポケットに入れてきた物を握り締めた。

私のポケットの中に入っているそれは、かつて、サトシと一緒に撮ったプリクラだった。

頬を寄せあう幸せだった頃の二人のプリクラを、「サトシが見つけず、ももちゃんが見つけるであろう場所」に貼りまくってやろうと思ったのだ。


たとえば、しゃもじの裏。

たとえば、炊飯器の内ブタ。

たとえば、お椀の中。

たとえば、コショウのビン。


私はサトシの目を盗んで、あちこちに貼りはじめる。

サトシはいっさい料理をしないから、これらを触ることは絶対にない。

触るとすれば、ももちゃんだ。


私は一箇所だけ、サトシも見つけるに違いない場所――インターホンにも、プリクラを貼っておいた。

それを見つけたサトシが、一体どんな反応をするのか、知りたかったからだ。