「これは日本心療内科学会でも正式に認定されている事実なんだよ。医師の俺が言うんだから、間違いない」 自分の言葉に大きく頷いたサトシに、唖然とする私。 いや、それ、絶対に嘘でしょ! あんなに思いつめて、決意してこの部屋に訪れた私だったけれど、シリアスな気持ちを吹き飛ばすほどの衝撃的なサトシの嘘に、しばし固まってしまう。 「そういうわけで、一件落着だな。俺、トイレ行ってくる」 嘘で突っ走るサトシは、ある意味、つわものだ。 あまりにも馬鹿らしい嘘の前に、私は、戦意を喪失しそうになる――