私にゴルフセットを買ってくれたサトシは自分用にも買っていて、それから私たちは、しばしばプライベートレッスンを受けに行くようになっていた。

そんなある日のこと。

お料理教室の日に、サトシからこんな電話がかかってきた。

「今日、仕事帰りに一人でゴルフのレッスンを受けに行ってたんだけど、レッスン中にぎっくり腰になっちゃったんだ。今から看病に来てくれないか?」

「えっ、大丈夫!?」

「何とか動けるから、軽い方だとは思うんだけど。でも、看病に来てくれよ」

「んー……」

実はそのとき、私はすでにお料理教室に来ていて、エプロンを身につけた直後だったのだ。

そのお料理教室は友達とペアで習っていたから、私が帰ったら友達が一人になってしまう。

「ごめんね、今お料理教室がちょうど始まるところなの。終わってからでもいい? ここからサトシの部屋まで一時間はかかるから……着くのは三時間後になっちゃうけど」

「そうか……」

「ごめんね。とにかく、終わったら電話するから。それまで、ゆっくり寝ていてね?」