その日の帰りのこと。

「一周年記念のプレゼントがあるんだ」

サトシが私を、車のトランクの前に立たせた。

「じゃーんっ!」

サトシがトランクを開けて、見せてくれたのは……

「ゴルフバッグ?」

ピンクのゴルフバッグだった。

「ほら、中にゴルフクラブ一式が入ってるから」

「ありがとう……でも、嬉しいけど、どうしてゴルフバッグ?」

私、ゴルフなんてやったこともないけど?

「友達が最近ゴルフを初めて、おもしろかったって言ってたからさ。俺たちも始めようよ」

友達がおもしろかったと言ったから真似してゴルフをやりたいというサトシは、相変わらずだ。

けど……

「友里の好きな色のバッグを選んでみたんだけど、気に入ってもらえたかなぁ」

不安げに私の表情を覗きこんでくるサトシは――

やっぱり私の心を、ぎゅっと掴んで離さない。