そもそも、ももちゃんは私の存在を知っているのだろうか。

私に対してそうであるように、サトシは、ももちゃんに対しても怪しい行動を重ねているに違いないけど。

ひとまず私は、ももちゃんに確実に私の存在を知らせるために、サトシが気づかず、ももちゃんだけが気づく痕跡をサトシの部屋に残して帰ることにした。


キッチンを見回し、「これだ」と心の中で指を鳴らす。

キッチンの棚に無造作に突っ込んである沢山のコンビニのビニール袋。

私はそれらを取り出すと、すべてキレイにたたんで三角形に折った。


――これだけでいい。きっとサトシは、こんな変化には気づかない。

けれどもももちゃんは、絶対に気づくだろう。

他の女がキッチンに入ったという形跡に。


それに気づいたももちゃんは、一体どんな行動に出るだろう。

サトシを問い詰めるのではないだろうか。