「ねぇ、サトシ」
「ん?」
「これ、なぁに?」
彼の目の前に、それを突きつける。
「……それって、何?」
サトシは、それが何なのかさえ分からないようだった。
「これ、だし取りパックよ」
「ふーん。友里、だし取るの?」
違うって。
「私が持ってきたんじゃなくて、キッチンの引き出しに入っていたの。サトシが入れたんじゃないの? じゃあ、誰が入れたの?」
「え……」
私の質問に、サトシが固まった。
「誰かが入れたんだとしたら……誰かがこの部屋で、料理をしたってこと?」
「……」
「これ、封が空いているし、明らかに使いかけよね。誰かが煮物でも作ってくれたの?」
ついに真相解明に乗り出した私の質問に、サトシは、「実は……」と、口を開いた。
私はごくりと息を飲む。
ようやく、サトシが浮気を白状するときが来たのかもしれない。