リフトに乗っているとき、サトシが過去に行ったスキー場の話をしてくれた。


「――それで、一番良かったスキー場はどこだった?」

「そうだなぁ、一度だけ、カナダのスキー場に行ったことがあるんだけどさ、とにかく雪質がすごく良かったよ」

「パウダースノー?」

「いや、あそこの雪は、シャンパンスノーって言われてる」

「シャンパンスノー? 何それ」

「シャンパンの泡みたいなキメ細かい雪のことを、シャンパンスノーって言うんだ」

「へぇ……」


澄み切った青い空。

キンと冷えた空気に、白い息を吐いて。

私の手をそっと握り、サトシがこんなことをささやいた。