「ところで谷本先生は、スノボ歴長いんですか?」
「そうだなぁ――」
それからしばらく、谷本先生のスノボ談義が続いたのだけど。
――そういえば、私が谷本先生と二人きりになるのって、初めてかも。
そう気づいたら、どうしてもこの機会に、「あのこと」を聞いてみたくなった。
谷本先生の話が途切れたところで、私は思い切って口を開く。
「あの……病院に、ももちゃんっていう看護師さん、いますよね?」
脈絡もない突然の質問に、谷本先生は一瞬驚いた顔をして。
「いるけど?」と答えながら、質問の真意を探るような顔つきになった。
私は、ためらわず質問を続ける。
「どんな人ですか?」
「どんなって……普通の子だよ。友里ちゃんより二、三歳年上だと思うけど……」
谷本先生は、どうしてそんなことを聞くのかと聞きたげな表情をしていた。


