しばらくすると、いったんお茶の用意のためキッチンに引っ込んでいたお母さんが、大きなお盆を手に戻ってきた。
そのお盆を見た私は、目が点になってしまった。
なぜならお盆の上には、紅茶、コーヒー、緑茶、オレンジジュース、麦茶、ビンのままのCCレモン、ファイブミニ、オロナミンC、缶のままのコーラ、ファンタ――……
多種多様な飲み物がずらりとのっていたからだ。
「何がお好きか分からないから、色々用意したの。好きなもの選んでね」
にこやかな笑顔を向けてくるお母さん。
「あ、ありがとうございます……」
何もこんなに各種持ってこなくても、先に何が飲みたいか聞けばいいのに。
さすがサトシのお母さんは天然だ。
このお母さんのお茶の出し方に対し、サトシも、サトシのお父さんも、全く驚いている様子はない。
この出し方、もしかして北海道では普通なのだろうか。
いや、まさかそんなはずはないか……


