サトシの実家は、北海道ののどかな街にあった。

都会とは時間の流れが違うように感じる、ゆったりとした横長の風景。

冬の北海道なのに想像していたほど寒く感じないのは、晴れ渡る空のおかげなのか、それとも私の心が晴れ渡っているからなのか。

「いらっしゃい。遠いところ、ようこそ」

笑顔で歓迎してくれたサトシのご両親は、素朴で穏やかそうな人たちで……

サトシのルーツはここにあるのかと、感慨深さを覚える。


サトシのご両親と玄関で簡単な挨拶をした後、私はリビングに通された。

「お茶淹れますね」

「おかまいなく」

定型どおりのやりとりの間も、緊張で手の平はじっとりと汗をかく。

恋人の親に紹介されるというシチュエーションは、私にとって初めての体験だ。

「なに緊張してるんだよ」

サトシが私の頬をつねり、緊張をほぐしてくれた。