結局その後、異動の話は立ち消えになり、サトシの発言どおりに結婚話は無効となって、それは幻のプロポーズとなったのだった。

でも……

いくら「しょうがないから」とはいえ。

東北へ転勤する場合、サトシはももちゃんではなく、私と一緒に行こうとしてくれた。

その事実だけで、私には十分だった。

たとえサトシが浮気をしていても。

サトシの本命は私だ。


だったら私は、それでいい――