そんな過程を経て、ようやく到着したサトシの部屋。

太陽の光がたっぷりと差し込む南向きのリビングには、大きなベージュのソファが置かれていた。

一人暮らしには贅沢とも思える広々とした3LDKを、サトシは一部屋を寝室として、一部屋を書斎として使っているという。

「この部屋は?」

ドアが閉まっている残りの一部屋を指差した私に

「あぁ、そこは物置にしてる。まだ片づけていない引っ越し荷物があるんだ」

そう説明しながら、サトシがドアを開けた。

そのドアの奥に目を向けた私は、一瞬言葉を失ってしまう。

なぜなら、引越のダンボールが積み重なっている中、部屋の中央にカヌーが鎮座していたからだ。