写真立ての消えた空間を見つめ、私は茫然とする。

写真立てがそこからなくなった理由。

それは、一目瞭然だ。


サトシ、女性を部屋に上げたのね。

それで、私の写真を隠したのね。


隠した写真立てを元の場所に戻しておけば、私にこんな風に察知されることもないのに。

どうしてサトシは、こんなにも気が回らないのだろう。


静かに瞳を閉じ、唇を噛む。

それから、ゆっくりと瞳を開けると、私はリビングに戻った。


「ねぇ、サトシ」

「ん?」

コーヒーの入ったマグカップに口をつけながら、サトシは私に目を向ける。

「本棚のところにあった写真立て、なくなっているんだけど。どこにやったの?」

私の言葉に、サトシの手にしているマグカップの中身がかすかに波打った。