また別の日に、あるスパイ映画のDVDを観ていたときのこと。

主人公が絶体絶命のピンチに陥ったシーンで、サトシはこんな声を上げた。

「俺、分かったぞ! この主人公は、きっとこのピンチをなんとか乗り切るんじゃないか?」

そりゃそうでしょうよ! 

主人公がピンチを乗り切らずじまいで終わる映画なんてある?


その後、「サトシの予想どおり」に主人公がピンチを乗り切ると――

「ほら! 俺が言ったとおりだったろ!」

サトシはまたも得意げな顔になるのだった。

「ほんとね」

素直に同意してあげた私は、我ながら大人だったと思う。