少し休憩したあとで、サトシはこんなことを提案してきた。

「この近くにすごく美味しいソフトクリームを売ってる店があるんだ。友里、ソフトクリーム好きだろ? 今からそこに行かないか?」

「うん」とうなずいた後で、私は笑顔で問いかける。

ほんの少しの嫌味を込めて。

「初めてきたわりに、サトシはこの近所のことをよく知ってるのね」

私の言葉に、サトシの表情が一瞬固まる。

それから、サトシは慌てて否定した。

「いや、この近所のことなんて、俺は全然知らないよ! 俺がここに来たのは今日が初めてだし。ほら、同僚からおすすめだって聞いてきたんだよ。初めて来た俺は、もちろんその店のソフトクリームなんて食べたことないよ? 美味しいっていうのは、あくまでも聞いた話なんだ」

慌てるサトシに、いつものごとく呆れる私。

どう好意的に考えても信じられないくらい、サトシの言動は浅はかすぎて。

サトシの嘘は、ヘタすぎて。

どう信じようと思ったって、これは、信じられないでしょう。


秋晴れの空に、悲しみの雲が広がる。


だけど――