しかし、呆れ果てた私は、またしても、呆れすぎてそれ以上の追及を断念してしまう。 そもそも追及するまでもなく、その真相は明白だろう。 ディズニーのペアマグは、私ではない、誰か他の女性とのものだ。 だけど、そんなの……許せない。 マグを握る手に、ぐっと力が入る。 「サトシって、ディズニー好きなの?」 心のうちを悟られないよう、笑みを絶やさずにそう尋ねた私に 「いや、別に」 サトシがそう答えたから。 私は、こんなことを頼んだ。 「だったらこれ、私にくれない?」