この雪の中をどれ位歩いただろうか。いつも帰る道もこの吹雪、しかも彼女を背負って帰るのは並大抵ではない。男性の体力もいつも以上に奪われる。

「このままじゃ、私もやばいな &急がないと」

彼の歩む速度がはやまったと後ろから男の声がする。
「オーナー?オーナーですか!?」

「もしかして、窓野さんですか!」

視界が悪くてあまり姿が見えないが確かに窓野さんの声だ。

「オーナーこんな吹雪の日に出歩くなんて、珍しいですね。買い物か何かで?」
窓野壮介。彼はホテル【リフレイン】201の住人である。今は仕事帰りである。
「窓野さん!今は話してる暇はないんだ。直ぐに【リフレイン】に帰って、雫紅に暖かい部屋と毛布。お湯を出すように言ってきてくれないか!」

西野は男性のただならない雰囲気を感じ、後ろの少女に気がつく。

「何だか分かんないですけど分かりました。オーナー、帰ってから説明して下さいよ。」

窓野は大急ぎでホテル【リフレイン】へ向かう。

「これで安心だよ」

彼は彼女を励ましながら【リフレイン】へ歩みだした。