「僕の背中に乗るんだ」

何処の誰だかわからない。でもその時私は彼女を助けたいそれだけだった。

「ありがとう…」

彼女はこの寒さですでに気を失いかけている寸前だ。手足はすでに冷たくなっていた。氷の少女。まさにそれが当てはまる。

「とりあえず、私の家まで帰ろう。事情を聞くのはそのあとでも遅くない」

「……」

彼女は頷いた。しかし返事も出来ない位体が衰弱しきっている。一刻の猶予も争う。

「急がないとな…」

男性はこの荒くれる雪の中をわけ進むように帰って行った。